職務著作における著作者人格権(会話風)
A子
これって著作権はB美が持ってるの?
C菜
著作権は我が社のものだと思うです~
A子
B美
著作権法第15条の2に明記されている『職務著作』規定ね
A子
さすがというか何というか…(笑)
C菜
どうしたんですかぁ~?
A子
したら、うちにも導入したいって言われちゃってねぇ
B美
まさか無料であげるなんて言わなかったわよね?
A子
C菜
B美
A子
とりあえずは権利関係、つまり著作権の有無をはっきりさせときたいのよ
B美
私がプログラムを保守(修正・改良・変更)できるのは、会社の業務命令があるからってことになるわね
保守って、本来なら同一性保持権を侵害する行為になるんだけど…
あ、もっともプログラムの改修については、ある程度なら同一性保持権の適用除外になるって考え方もあるんだけどね
A子
…って何?
C菜
A子
B美
同一性を保持するってことは、その作品に対して改変を許さない
言い換えれば、作品を改変できるのはその著作者のみってことなのよ
余談だけど、これは「著作者人格権」を構成する三つの権利の内の一つってことになるわね
A子
B美
一つが「著作者人格権」、もう一つが「著作財産権」
一般的には「著作財産権」のことを著作権と呼ぶ場合が多いわね
A子
じゃあ、B美には以下の業務を指示します
我が社の顧客管理システムを○○社さん向けに導入する場合、システムのカスタマイズが必要かどうかってことと、その設置における工数調査をしてください
その見積り次第で、請負契約にするかどうかを先方の担当者と協議するからさ
B美
○○社さんに出向いて調査しないといけないから、そこの社長にはきちんと話を通しといてね
B美
工数と見積り金額を確認してね
A子
あ、そうだ
ちょっと確認したいんだけど、先週言ってた『職務著作』に関して生成AIである「ChatGPT」に質問してみたのよ
C菜
A子
で、権利の保護期間について質問してみたんだけど、そのとき気になることを言ってたのよ
B美
・著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)については、一身専属性という性質から著作者の死亡まで
・著作財産権(複製権等)については、著作者の死後70年または公表後70年ね
C菜
A子
B美
・著作者人格権は著作者の死亡までだから、会社が倒産するまで
・著作財産権は、公表後70年を適用するから、システムの運用開始から70年と考えれば良いかな
で、「気になること」って何だったの?
A子
『法人が著作権者の場合、著作者人格権はその法人に属することはありません』だってさ
『著作者人格権は譲渡できず、著作者本人のみに帰属するため、法人が著作者人格権を持つことはありません』とも言ってたわね
B美
バッカじゃないの?
著作権法第15条で「著作者はその法人等とする」とあって、第17条では著作者には「著作者人格権」と「著作財産権」が発生すると明記してるわよ
A子
『著作者人格権は個人にしか属さないため、法人はこれを持つことができません』
だってさ
B美
『職務著作の要件を満たす場合には,当該著作物にかかる著作者人格権及び著作権が原始的に法人等に帰属することになります』
…って書いてたわよ
(出典はこちら)…クリックすると別ウィンドウで開きます
A子
そしたら
『その法律事務所の見解については、著作権法の一般的な解釈に反しているため、誤解を招く可能性があります』
って言われちゃった(苦笑)
C菜
A子
『日本の著作権法では、著作財産権は法人に帰属することができますが、著作者人格権は個人にしか帰属しません』
『法律上の解釈としては、人格権は譲渡不可であり、法人には帰属しないというのが正確な理解です』
『法人が著作者人格権を「持つ」という誤った解釈が広まっている可能性がありますが、法的には個人にのみ帰属するものです』
とかね
あ、あと
『著作権法の解釈において、日本国法務省の公式見解も、著作者人格権は個人にしか帰属しないという立場を取っています』
とまで断言してたわよ
C菜
B美
生成AIって、平気でもっともらしい嘘を吐くからね
あ、ただし、「著作者人格権は譲渡できない」というのは正しいわ
「著作財産権が譲渡できる」のに対して特徴的な点よね
A子
そしたら
『著作者はその作品について著作者人格権を持つとされていますが、この「著作者」は個人を指します』
『法的根拠としては、著作権法第11条により、著作者人格権は「著作者に帰属する」と明記されています』
『この条文からも、著作者人格権は個人にのみ帰属することが示されています』
だって…
B美
「著作者に帰属する」という文言自体、著作権法の条文中のどこにも出てこないし…(苦笑)
あと、その個人って自然人(生きている人間)だけじゃなく、法人格を持つ法人も含むと解釈すべきよね
A子
『法人は法人格を持ち、契約の主体として機能しますが、著作者人格権については、以下の理由から個人にのみ帰属します』
『1.人格的権利: 著作者人格権は、創作した個人の人格や感情に基づく権利であり、法人にはそのような人格が存在しないため』
『2.法律の原則: 日本の著作権法では、著作者はあくまで個人として定義されており、法人には譲渡できないことが明示されています』
だってさ
C菜
ある意味、感心します~
B美
それができるのは教師(生成AIに学習用データを投入し、訓練する人)だけだし…
A子
『「著作者人格権」は一身専属の権利とされているため(第59条)、著作者が死亡(法人の場合は解散)すれば権利も消滅することとなります』
(出典はこちら)…クリックすると別ウィンドウで開きます
結局、私の知りたいことはまさにこれだったわけだけど、しっかりと「法人の場合は解散」って書いてるのよね
ってことは、法人にも著作者人格権が発生するってことじゃん
B美
A子
そしたら
『その記述は著作者人格権に関する議論の中で重要な点ですが、著作権法において法人が著作者人格権を持つという解釈は一般的ではありません』
『著作者人格権は個人に固有の権利とされており、法人はその人格を持たないため、法人が著作者人格権を有することは法律上認められていません』
『その記述が指しているのは、法人が解散することにより権利が消滅するという状況であり、これは法人が著作者人格権を持っていることを意味するものではありません』
…だってさ
C菜
A子
『文化庁の見解について、その文脈から法人が著作者人格権を持つと解釈することも可能ですが、一般的な法解釈としては、著作者人格権は個人に固有の権利であるため、法人が持つことは認められていません』
だそうよ
C菜
B美
だって、文化庁の著作権課に問い合わせて、メールで直接返答をいただいたもの
そこにはこう書かれていたわ
『著作権法第15条における職務著作の要件すべてに合致し
法人が著作者となる場合は、
その法人は著作人格権も享有することとなります。』
…ってね
C菜
B美
A子
B美
・OpenAI ChatGPT … 著作者人格権は法人に帰属しない
・Microsoft Copilot … 著作者人格権は法人に帰属しない
・Google Gemini … 著作者人格権は法人に帰属しない
なんと!
全員が同じ意見でした(笑)
A子
C菜
でも不思議ですよね~(苦笑)
B美
んで、ネット上の情報は概ね「著作者人格権は法人に帰属する」という立場なんだよね
…ってことは、生成AIが「著作者人格権は法人に帰属しない」という結論に到った理由って、どっかの偉い学者先生の論文にでも影響されたんじゃないかな?
まぁ、真相は闇の中なんだけどね(苦笑)
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