Friction River Software - Linuxディストリビューションについての考察（会話風）

Ａ子

ねぇ、Ｂ美

我が社のWebサーバやメールサーバ、あと社内で使ってるファイルサーバなんかの基本ソフト（OSオペレーティングシステム）って、何を使っているの？

Ｂ美

ん？
どちらもLinuxリナックスだけど、それがどうかしたの？

Ａ子

いや、最近気づいたのよね

サーバの年間使用料は費用計上されてるけど、サーバOSのライセンス料を払っていないって…

Ｂ美

社長のくせに気づくのが遅おせぇよ！

まぁとにかく、うちのサーバの基本ソフトOSは無料で使えるLinuxリナックスだから…

Ｃ菜

一口にLinuxリナックスと言っても、色々な種類があるんじゃなかったですか～？

Ｂ美

お、よく知ってるわね

うちの会社って外部に公開しているWebサーバやメールサーバも、社内で使っているファイルサーバもだけどさ
両方とも『Debianデビアン』というディストリビューションを使ってるわよ

Ａ子

でぃ？でぃすとり？
何だって？

Ｂ美

distributionディストリビューションよ
直訳すると「配布」とか「流通」って意味ね

Linuxリナックスって、色んなソフトの組み合わせで構成されてるの
それを自分で一から組み上げていっても良いんだけど、めっちゃ大変なのよ

だから『中核部分（「カーネル」と呼びます）に加えて、様々なソフトをあらかじめ一つにまとめておいて、さらにインストールが簡単にできるようにして、新たなソフトの導入なんかも簡単にできるような仕組み（パッケージ管理機能）を作ろう！』
…って考えたわけ

それが「ディストリビューション」ね

Ａ子

でびあん？…っていうやつの他には何種類くらいあるの？

Ｂ美

最低でも100種類以上ね

まぁ、数えたことが無いからよく分からないけど、数百種類はあるって言われてるわよ

Ｃ菜

そんなにあったら選べませんね～

Ｂ美部長はどうやって決めたんですか～？

Ｂ美

種類は多いんだけど、系統としてはいくつかに分類できるのよ
RedHatレッドハット系（RPMアールピーエム系）とかDebianデビアン系（Debデブ系）とか…

あ、カッコ内はソフトウェアパッケージのファイルに付けられている拡張子による分類ね
「○○.rpm」とか「××.deb」というファイル名になっているのよ

Ａ子

有名メジャーなやつとか、無名マイナーなやつとかあるの？

Ｂ美

そうね
RedHatレッドハット系の「Fedoraフェドラ」やDebianデビアン系の「Ubuntuウブンツ」なんかが有名どころかな

あ、全てのディストリビューションを検索できるWebサイトもあるわよ
それが『DistroWatch.com』ね
（クリックすると別ウィンドウで開きます）

Ｃ菜

ディストリビューションによって入っているソフトの種類が違うんですかぁ～？

Ｂ美

いいえ
ソフトの種類はほとんど同じよ

違うのは、そのソフトのバージョン！
古かったり、新しかったり…

Ａ子

え？新しいほうが良いじゃん

なんでわざわざ古いものを使うのよ

Ｃ菜

新しいものには不具合バグが多いからじゃないでしょうか～

Ｂ美

Ｃ菜正解！

バージョンの数字って、ほとんどの場合「Ver.1.2.3」のように三つの数字を並べるのね
（もちろん例外もあります）

・最初の数字（上記の例における「1」）がメジャーバージョンで、大きな変化があったときに増やす
・真ん中の数字（上記の例における「2」）がマイナーバージョンで、ちょっとした機能追加や性能向上を行った場合に増やす
・最後の数字（上記の例における「3」）がバグフィックスバージョンで、不具合バグを修正フィックスしたときに増やす

で、話は戻るけど、新しいものってのはメジャーバージョンやマイナーバージョンが大きいもので、当然不具合バグが隠れているかもしれないってわけ

Ａ子

なるほどねぇ

サーバとして24時間365日、常に動き続けているのに、不具合バグで停まったりしたら大変ってことか…

Ｂ美

そういうこと
思想的には、RedHatレッドハット系が保守的な感じで、Debianデビアン系が革新的なほうかな？

もちろん同じRedHatレッドハット系であっても「CentOSセントオーエス」はかなり保守的で、「Fedoraフェドラ」については革新的なほうかもしれない

これはDebianデビアン系でも同じで、「Debianデビアン」自体は割と保守的なほうかもね
「Ubuntuウブンツ」なんかは割と冒険してるってイメージがあるけど…

Ｃ菜

RedHatレッドハット系とDebianデビアン系以外にも、ほかの系統ってあるんですか～？

Ｂ美

もちろん、あるわよ

Archアーク系やSlackwareスラックウェア系、Gentooジェントゥー系などなど…
あ、軽量Linuxの系統もあるわね

Ａ子

軽量リナックス？

…って何？

Ｂ美

古くてマシンスペックが低いせいで、Windowsでは使い物にならないようなパソコンってあるわよね？

そういうパソコンをLinuxマシンとして復活させることができるOSが「軽量Linux」よ
「Xubuntuクブンツ」や「Puppyパピー」、「Alpineアルパイン」なんかが有名ね

Ｃ菜

ディストリビューションを選ぶときの判断基準ってあるんですかぁ～？

Ｂ美

そうねぇ
軽量Linuxを除けば

・デスクトップ機として使うのか、サーバマシンとして使うのか？
・日本語対応は？
・安定ステーブルを求めるのか、それとも最新の機能を利用したいのか？

…ってなことを考慮するかな

Ａ子

日本語対応は当然として、サーバ用途で安定したものなら何？

Ｂ美

それなら「CentOSセントオーエス」または「Debianデビアン」ってことになるでしょうね

まぁ、各種ソフトのバージョンが低すぎると、かえってできることが限られちゃうから、私としては「Debianデビアン」を推すかな

Ｃ菜

だから我が社のサーバは「Debianデビアン」なんですね～

納得です～

Ｂ美

うちのWebサーバって、いくつかのWebアプリケーション（プログラム）が動作してるんだけどさ
それってPHPというプログラム言語を使っているのよ

で、「CentOSセントオーエス」の最新版の「CentOS9」におけるPHPのバージョンって『8.0.12』なんだけど、「Debianデビアン」の最新版である「Debian12」のPHPバージョンは『8.2.5』なの（現在は8.2.5→8.2.7→8.2.20まで進んでいます）
（注：2024年11月時点での話です）

Ａ子

あまり変わらないじゃん

Ｂ美

大違いよ

PHPって8.1でもいくつかの変更があったんだけど、8.2からはさらに色々なものが変わっているのよ
例えば、うちで使っているWebアプリケーションシステムを「CentOS9」上で使うには、何ヶ所かの改修作業が必要になるくらいには違うってわけ

Ａ子

安定してる（バージョンが低くて不具合バグが少ない）ってことは、そういう短所デメリットもあるってことかー

「Debianデビアン」はそのへんのバランスが良いってこと？

Ｂ美

私自身は（あくまでも個人的な意見だけど）、そう思っているわ

まぁ、使い慣れているって面もあるけどね（笑）